STORY

2024.06.03 【 2024.06.03 update

DramaCD ブックレットの裏の裏

NC DramaCD01
「超鋼神器ローレンシウム」裏

2014.9.7 release

超鋼神器ローレンシウム

『久しぶりだな、アルタイル』

「この通信は!? カノープスなのか? 僕に連絡を寄越すなんて珍しいことがあるもんだな!」

『未だに〝僕〟か。おまえらしい』

「何の用だ? こう見えても僕は忙しい身なんだよ」

『ポラリスやマーメイドばかりじゃなく、昔みたいに俺の相手もしてくれよ』

「……!? さては、シャスターの命令で僕を始末しにきたのか! そうはいくか!」

『逆だアルタイル。俺もシャスターを倒したいと考えている』

『この通信はシャスターの盗聴から遮断されているが、長くはもたん。俺の話を聞け』

『まずアルタイル、おまえの戦い方は間違っている。武力に武力で対抗していては消耗するばかりだ。被害を最小限に留めるためには大本を叩くべき。違うか?』

「シャスターを叩くってことか? できるならやってるよ。本体とミラーが全部で7つもあるんだぞ。本体の居場所も分かってないし、どれかを倒してもすぐに修復される。どう考えても無理だ」

『だが、7つのシャスターを同時に叩けるならどうなる?』

「それこそ無理だろ。アドミニストレータに近付けるような戦力はない」

『単純な計算だ。①俺、②おまえ、③ポラリスが自分の手元にあるシャスターのミラーを同時に破壊する。④ローレンシウム、⑤サイクロトロン、⑥シンクロトロンの三神器がソル、ベガ、アルクトゥルスの元へ攻め入る。これで少なくとも6つはやれる』

「三神器の動力をシャスターに止められたらどうするんだ?」

『三神器はシャスターに動力を止められたとしても、しばらくの間は搭乗者の精神力だけで動くことができる。シャスターを倒すために俺がそう設計した』

「対白の世界用じゃなかったのか!?」

『最後の協力者にはデネボラを想定している。すでに概要は伝えたが、まだ迷っているようだ』

「もちろん僕は全面的に協力するよ! 断然燃えて来た!」

『ならばマーメイドのバックアップは一旦取りやめ、俺の作戦に集中しろ。デネボラを説得するのはおまえの役目だ。俺は足取りのつかめないソルの居場所を突き止めねばならん』

「バカ言え! マーメイドたちもいまが正念場なんだ! 見殺しにしろっていうのか!?」

『俺の作戦が成功すれば、最終的な犠牲は激減する』

「う。……ぐっ」

『考えておけ。いい返事を待っている』

 通信を切ったカノープスの傍らには無言でオリジナルXIII Type.VII が佇んでいる。

『死ぬなよ、アルタイル……』

ショートストーリーの関連人物

カノープス 雷鳥超が青の世界へ進んだ人物。シャスターを生み出したアドミニストレータのひとり。Type.VII を従える。メタルフォートレス開発者。当初はシャスターとソルに「洗脳された二重人格」を植え付けられていたが、アルタイルの捕縛と引き換えに解放された。革命軍リーダー代行。
アルタイル 戦斗怜亜が青の世界へ進んだ人物。シャスターを生み出したアドミニストレータのひとり。Type.III を従える。バトルドレス開発者のひとり。元・革命軍リーダー。ソルの計略に陥れられ、シャスターの手先となる。革命軍の勝利直前、カノープスとの殴り合いにより洗脳は解かれた。
デネボラ 獅子島七尾が青の世界へ進んだ人物。シャスターを生み出したアドミニストレータのひとり。Type.V を従える。キラーマシーン開発者。ハードウェアに強い。世を忍ぶため、最初期は本来とまったく異なるアバターを使用していた。
ポラリス シャスターを生み出したアドミニストレータのひとり。Type.XI を従える。ソフトウェアに強い。革命軍の参謀。青の世界や現代世界の別け隔てなく、つねに人間に寄り添い、特に各務原あづみとリゲルに肩入れした。
ソル 黒崎神門が青の世界へ進んだ人物。シャスターを生み出したアドミニストレータの代表格。Type.XIII を従える。のちにシャスターを凌駕するネオ・シャスターを独力で開発するが、敗北を早期段階で予期。幻夢郷を舞台とする、次なる作戦行動へ移していた。すべては妹復活のため――
ベガ 各務原あづみを原点とするクローン「オリジナルXIII」のプロトタイプ。シャスターを生み出したアドミニストレータのひとり。Type.I と Type.偶数機を従える。バトルドレス開発者のひとり。自我を見失い、ソルに踊らされ続けた。
アルクトゥルス シャスターを生み出したアドミニストレータのひとり。Type.IX を従える。弱者の虐待が大好きという人格破綻者。模倣の天才であり、0から1は創れないが、1を10にも100にもしてしまう。ソルを後ろ盾に好き放題していた。
シャスター 青の世界を管理するスーパーコンピュータ。青の世界の人口の大部分を占めるクローン人間や、各種機械のすべてを統率していた。倉敷世羅と蝶ヶ崎ほのめの頭脳が、中枢 AI に使用されている。
Type.VII ベガに開発された最強のバトルドレス、オリジナルXIII の七号機。初期設定では感情回路をロックされていたが、ポラリスに解除された際、ドジっ子属性が付いた。カノープスが洗脳され、二重人格に〝させられていた〟ことを知らず、彼の極端な言動に惑わされる。

ショートストーリーの補足と解説

 まず、Z/X の DramaCD には「NC」と「NF」の二系統があります。それぞれ、Nan-Chatte / Non-Fiction の略です。馬鹿みたいですがマジです。

 前者は既存の設定を無視してつくられたもの。3作しかありません。

 後者は既存の設定に基づいてつくられたものです。

 ブックレット裏の SS についても、原則的にはノンフィクションとなります。そして、DramaCD22「ねむる記憶のリルフィ」裏の SS 以外は旧時間軸の物語です。

 SS で初公開された設定は、その後、用語辞典やフレーバーテキストなどで補完されてゆき……。現時点ではブックレット裏のみに記載されている情報は、ほとんどないはずですが……。当企画を進行するにあたり、致命的なやらかしを発見しました……。時が来たら白状します。

 ――さて。

 DramaCD01 の SS は、青の世界の「革命戦」序盤の舞台裏です。

 表舞台では戦斗怜亜、雷鳥超、獅子島七尾ら正義の子供たち〝神器組〟と、仕組まれた宿命に直面する各務原あづみの様子が描かれました。俯瞰的には、青の世界のすべてを管理・支配していたシャスターを破壊し、人類が自由を勝ち取るまでの、かな~~~~り長いストーリーです。

 この項の最後に記した、関連リンクの数からもボリュームが伺えます。

 舞台裏の流れも軽く解説しましょう。

 当初、革命を志す者はアルタイルと配下のマーメイドだけでした。ですが、カノープスとポラリスも水面下で反旗を翻す準備を着々と進めていたのです。

 しかし、革命を志す仲間どころか本人さえも知らないカノープスの第二人格は、シャスターに洗脳されたスパイでした。最初の「シャスター破壊計画」は失敗に終わり、主力のマーメイド艦隊も壊滅。彼の第二人格が消滅した時には、逆にアルタイルが洗脳されている状態でした。

 SS はカノープスが洗脳され、アルタイルが洗脳されていない時期の、ふたりのやり取りとなります。

 当時はカノープスの前身である雷鳥超が、いま現在よりも遥かに冷めた性格だったため、意図してかなりのギャップを付けました。ドラマ本編も、彼がひとりで数百・数千話と手掛けた「超鋼神器ローレンシウム」なる熱血ロボアニメの1エピソードに過ぎません。以降、彼は〝クールないじられキャラ〟の地位を得ました。

 また、青の竜の巫女ユイも最初期こそシャスター側の立場を取っていましたが、のちに考えを改め、最終的には革命軍側についています。

関連リンク / 時系列順

 前後のショートストーリーです。登場人物がころころ変わりますが、物語の「順序優先」で並べました。

 関連度・小となっているものは外伝的な話。キャラクター理解の一助となるものです。

 英雄達の戦記は〝ストーリー分岐を皆さまに託す〟リアルイベント。当時はプロローグムービーなるものも存在しましたが、現在は訳あって非公開にしています。

  • DramaCD01「超鋼神器ローレンシウム」ブックレット裏
  • DramaCD06「りげる★くらいしす」ブックレット裏
  • DramaCD07「ぶらり湯けむり温泉紀行」ブックレット裏
  • DramaCD09「13姉妹 雪月花」ブックレット裏

 この先もソルが残した置き土産「ネオ・シャスター」とのアレコレがあります。

 具体的な続きやさらなるスキマが気になる方は、「おもな登場人物」 各キャラクターごとの旧時間軸に格納されている「◯◯の軌跡」をご参照ください。

 初回からとんでもない情報量となり、恐縮です。次回以降はもう少しシンプルになる見込みです。